#カウンセリング事例紹介/スキンシップを拒否する妻。原因は「夫が童貞」だから?
こんばんは。オーナー兼カウンセラーの佐々木です。
クライエント様に許可をいただき(とはいえ、ぼかしています)
カウンセリング事例をご紹介いたします。
【コース】
一般カウンセリング・夫婦カウンセリング
【カウンセリング対象】
夫側の男性。夫、妻ともに30代・会社員
【主訴】
妻にスキンシップや夫婦生活を拒否されている。
童貞(女性との性行為の経験がない)であることにコンプレックスがある。
【内容】
妻とは婚活パーティーで知り合い、新婚1年目。
スキンシップを拒否され、セックスも断られる。
自分(夫側の男性)は女性経験がなく、友人に昔からそれをバカにされている。
妻は子供が欲しいらしいが、セックスはしたくないと言うので、どうしたらいいかわからない。
学生時代は女性が怖くて関わることを避けてきた。
妻に嫌われている原因は自分が女性に不慣れであること(童貞だから)なのかもしれないと思い、自責の念がある。
夫婦としてスキンシップがないのは寂しいので、なんとかしたい。
【懸念点】
周囲(奥様も含む)に伏せてカウンセリングに来ているので、
奥様の言動については旦那様から見た印象・解釈が混じり、
奥様側の真意や考えが汲み取りづらい。
あくまで「旦那様から見た奥様の言動である」ことを念頭に置き、
現状についての確認は事実ベースに焦点をあててヒアリングをおこなう。
【質問の一部】
・奥様がこれから先もスキンシップやセックスに応じることはないとしても、
それでも今の奥様と夫婦でいたいと思いますか?
・セックスに応じない奥様との間に子どもをもうけるとしたら、
性行為を介してではなく、人工授精や体外受精などの方法で妊娠を目指すことになりますが、
そのあたりのことは、考えたことがありますか? 詳しく調べたことはありますか?
・仮にこの先、セックスをしない・子どももつくらない
(セックスは妻側の意思で不可、セックス以外の方法での妊娠には協力したくないという考え)として、
あなたにとって、結婚している・誰かと夫婦でいる、ということに
あなたの人生に対してどんな「良さ」「好都合」がありますか?
・奥様はなぜ、あなたとのスキンシップを拒否するのだと思いますか?
・あなたがどんな言葉を使ってコミュニケーションをとったら、
奥様はあなたとスキンシップを取りたくない理由を
あなたに正直に話してくれると思いますか?
・あなたはなぜ、性行為の経験がないことで自分を否定するのでしょうか?
・その考え方は、誰の、何の影響で持っているのですか?
・その考え方を手放したとしたら、どうなることが不安ですか?
・あなたは、自分の将来がどうなることが、最も不安なのでしょうか?
【補足で話した佐々木の意見】
そもそも、婚活パーティーで出会ったということは(=双方参加していたということは)
周囲の異性とは男女としてのコミュニケーションに至ることはなく、
交際や性行為といったステップを踏まなかった上で、
飛び級して結婚を叶えようとしていた二人ということなので、
「異性に対する壁の壊し方を知らない」という点においては
完全にお互い様でありイーブン。
なので、「自分が女性慣れしていないせいで妻とのスキンシップが取れない」
という考えは一部正しいと言えば正しいけど、
奥様ももしかすると男性に慣れていなくて、
夫(男性)に触れられて良いと思える心の土台を持っていないのかもしれない。
なので、その自責思考に終止するのはかなり見当違い。
少なくとも現時点では奥様の中に
「スキンシップを取りたい」と思えるほどの気持ちは育っていないが、
それは旦那様だからイヤというよりかは
飛び級で夫婦になったので関係値のギャップが埋まっていないと考えるほうが自然な表現。
関係を育てる時間を割いていないのに、イケると考えるほうがおこがましいし、ずうずうしい。
今の状況は成り行きから考えたらごく自然だし、
旦那様と奥様の組み合わせでなくても起こり得る。
むしろ、婚活パーティーや結婚相談所などのサービスを介して、
ほぼ0日婚のような形で結婚した二人が、スキンシップやセックスにガンガン取り組めるほうがかなり不自然。
同じ檻やカゴにオスメスのつがいを入れておけば交尾が起きる、人間はそういう生き物ではない。
【提案】
ご夫婦の問題のようで、まず初めに旦那様ご自身に矢印を向ける必要があるため、
次のような段階でカウンセリングをおこなう。
・自分の気質を深く理解し、客観性を高めるためのワーク
・認知の歪み(ネガティブに考えてしまう思考のクセ)への自覚
・相手が「こんなふうに言われたら/されたら」「どんなふうに解釈し/どのような気持ち、感情になるか」を考える
・ロールレタリング
・アサーション・トレーニング
・奥様と話し合いをするための台本作り
【途中経過】
カウンセリング5回。
離婚に至るかもしれないリスクを負ってでも、夫婦として話し合うことが
奥様に対しても本質的に誠実な選択であり、
自分の人生を大切にすることにもつながる
…ということにたどり着きました。
今後は会話メインのインプット・アウトプットの練習に入っていただきます。
いかがでしょうか💍
前回の事例紹介とは、少々形式を変えてみました。
佐々木から実際にぶつけられる質問の一例です。
具体的にカウンセリングの中身を知っていただくことで
ご予約に迷っている方の参考になったらいいなと思っていますし、
自分なりに応用して解決を目指せる可能性もあるかなぁと考えて書いています。
ご協力頂いたクライエント様、ありがとうございました。
合わない! と思ったら即別れたくなる佐々木にとって、
夫婦という関係性は実に尊くて味わい深く、
どんな方のご相談をうかがっても学べることが多いなぁと感じています。
それでは、またカウンセリングルームで🌙