Z世代だけではない #ルッキズム の話。見た目で「舐められたくない」「傷つきたくない」

オーナー兼カウンセラーの佐々木です。

美しい姉と比べられて(自ら比べて)育った結果、
心の奥底にルッキズムをこじらせてしまいました。

私の持っていた認知の歪みを、あえて言語化するのであれば

一般から相対的に見て外見のよくない人間は
内面が面白くないと価値がないものとされる。

という感じでしょうか…。

ルッキズムという言葉を聞くと、
SNSを中心に生きるZ世代特有の価値観のように感じませんか?

しかし実際には、年齢や世代を問わず、私たちは長い間
見た目によって評価される社会の中で生きてきました。

そしてその背景には、単なる美意識や流行だけではなく
「舐められたくない」「傷つくのが怖い」という
極めて人間的な自己防衛が存在しているということを

見た目へのコンプレックスで悩んでいる方以外にも
ぜひ知っていただければ幸いです。

ルッキズムとは

外見(顔立ち・体型・服装・若さ・清潔感など)によって
人の価値や能力、扱いを決めてしまう考え方や社会構造
を指します。

・容姿が整っている方が仕事で有利
・見た目が若い方が価値がある
・「普通」から外れる外見はネガティブに見られる

こうした前提が、無意識のうちに私たちの判断に入り込んでいます。

そしてルッキズムは、
加害者・被害者が明確に分かれる問題ではないということを考えたことはありますか?

私たちは「評価される側」であると同時に「評価してしまう側」にもなりうるのです。

メンタルへの影響

ルッキズムが強い環境に身を置くと、心には少しずつ歪みが生じます。

たとえば、

・人と会う前に、外見を理由に強い不安が出る
・写真や鏡を見るたびに気分が落ち込む
・「どうせ見た目で判断される」という諦めが強くなる
・評価=外見という感覚が抜けず、自分の内面に自信が持てない

上記のような心境を経験したことのある方は
案外多いのではないでしょうか?

特に問題だと感じるのは、
「嫌な思いをしないために」「傷つかないために」
外見を整え続けなければならない
という強迫的な感覚にとらわれてしまうことです。

これは努力や向上心ではなく、慢性的な緊張状態に近いものです。

醜形恐怖症(身体醜形障害)のこと

ルッキズムの影響が強くなると、
醜形恐怖症(身体醜形障害)と呼ばれる状態に発展することがあります。

実際には目立たない、あるいは存在しない外見上の欠点を
「耐え難い欠陥」として認識してしまう
精神疾患の一つです。

本人の中では非常に現実的な苦痛であり、
「気にしすぎ」「考えすぎ」という言葉では済まされません。

日常生活や対人関係に大きな支障が出ることも多く、
カウンセリングや医療的サポートが必要になるケースもあります。

整形依存症のこと

整形そのものが悪いわけではありません。
昔と比べてポピュラーになり、極端な差別意識も薄れてきていますよね。

問題になるのは、不安を解消するために繰り返さずにはいられない状態です。

・一つ直しても、次の欠点が気になり始める
・「もっと良くすれば、舐められなくなる」という思考が止まらない
・外見を整えている間だけ、自己否定が一時的に消える

これは、外見の問題というよりは
自己価値を外的要因で補おうとする心の構造に関係しています。

整形依存症の背景には、
「このままの自分では認められない」
「弱そうに見えたら損をしてしまう」
などの恐怖が根強く存在しているのです。

光のページェントを観測!19時の点灯に合わせて通りました

ここまで書くと、ルッキズムはとんでもないで、
それに影響される人にも問題があるように感じさせてしまうかもしれません。

しかし、舐められたくない、軽く扱われたくない、尊重されたい
という感情自体は、決しておかしなものではありません。

傷つきたくないという、人としてきわめて自然な防衛反応といえます。

私たちが問題としてとらえるのは、
「外見を整え続けなければ、自分には価値がない」
という考え方が、無自覚のうちに心を支配してしまうことのほうです。

ルッキズムから完全に自由になることは、現実的には難しいと思っています。
社会の構造がすぐに変わるわけでもありません。

しかし、
・自分が何に怯えているのか
・なぜ「舐められること」がそこまで怖いのか
・本当に守りたいものは何なのか

こうした点を丁寧に見つめ直すことで、
外見への過度な執着は、少しずつ緩んでいきます。

カウンセリングでは、
「見た目をどうするか」ではなく、
なぜそれほどまでに守らなければならなかったのか
ということに焦点を当てていきます。

もし今、外見のことで心が疲れているなら
それはあなたが弱いからということでは決してなく、
それだけ必死に自分を守ってきたという証拠でもあります。

私自身は、努力してなんとなく得た面白さや生来の変な部分を
今現在はけっこう気に入っています。

いっときは美容外科のカウンセリングに行ったり
症例写真にかじりついてみたり
化粧品や美容アイテム、サプリメントに重課金していた頃の自分のことも
否定する考えは持っていません。

「自己ベスト」を無理なく楽しみつつ
この個体で生きていくことに異論なし…と思っています。

それでは、またカウンセリングルームで💄